九谷焼は17世紀半ばに興り、約50年で途絶えた古九谷がルーツです。
古九谷の優れた技術がなぜ途絶えたのかは未だ不明であり、その発色は再現が難しいともいわれています。
およそ100年を経て、加賀藩の事業として金沢の春日窯で再興され、後に能美市や加賀市へ広がり九谷焼の窯が開窯されています。
緻密でありながら大胆で豪華絢爛な絵柄は、加賀百万石の美意識を誇るかのようで、明治・大正期には欧米人に好まれ、ジャパンクタニとして輸出されていました。
再興九谷は、窯ごとに異なる技法や作風、色づかいがあります。
近年、その流れをくむ作家らが、さらに独自の個性をプラスし精密で繊細な上絵付けを確立。
徳田八十吉氏や吉田美統氏が人間国宝に認定されるなど、技術の高さが証明されています。
現在では、若手作家が多く活躍しており、普段使いのもの、現代の食卓になじみ料理が映える器など、手軽な九谷焼が主流となってきました。
文化勲章受章の陶芸家、浅蔵五十吉氏(1913〜1998)の作品を後世に伝えます。雄大な自然をテーマに、意匠、技法等に新たな工夫を重ね、現代感覚溢れる独自の世界を切り開きました。
九谷焼の製造工程から歴史資料、名工の作品などを展示しており、時代の変移とともに移り変わる九谷焼の様式を楽しめます。
四つの展示室では江戸時代からの名品を常時展示しています。
入館者に陶芸を親しんでもらうことを目的として、平成二年に開館した体験型施設です。白磁の器を使った絵付けや、実際にろくろを回す作陶が体験できます。